御無沙汰しております。
年明けの1月もまた多忙にしており、
なかなか記事を書けずじまいでした。
毎年1月~2月は、乾燥により体調を崩す事が
多かった私ですが、昨年11月に気管支炎をやり
高熱を出して以来、その後大きな変調もなく
お陰様でこうして久々にPCに向かっています。
陰で支えていて下さる方々に感謝しております。
さて、熱望していたMessiaenの初期のオルガン作品の
楽譜を入手致しました。
タイトルは『Diptyque』。邦訳では「二枚折絵」と呼ばれています。
この作品には、また興味深いサブタイトルが付されています。
《essai sur la vie terrestre et l’eternite bienheureuse》
-現世論、そして至福の永遠-
(注記: 上記は私の訳です。)
つまり、
《1.)地上に生まれし者たちの現世での試練》=「人の世の営為」と、
《2.)至福に包まれし天上界での悠久の時への内在》=「天界に昇った死者の
永遠の至福の時」とを、二枚折絵として表現した作品なのでしょう。
“essai”という単語も、非常に多義的な訳が導き出せそうなところでして、
「試論」ですとか「エッセー」とそのまま訳している邦題も在ります。
ですので、「地上の生の試論」、或いは「地上の生の試練」という訳も可能でしょう。
しかしMessiaenは、《現世の在りようそのもの》を描き出す試みを
行ったのではないかと私は考えております。
(=ゆえに「現世論」と訳しました。)
『Diptyque』という作品タイトル自体も、本来的直訳には『二部作』という訳が
一般的ですが、敢えて邦訳は『二枚折絵』と、相反する絵画を並べて
『二部作』としたようなニュアンスを持たせているのも、
上記の並列を為すものなのでしょう。
オルガン楽譜の3段譜をじっくりとアナリーゼするのは、
自身初の試みであり、非常に興味深く思っております。
オルガン作品を知ることによって、鍵盤楽器作品の
『ピアノのための前奏曲集』の更なる理解に繋がるのではないかと
思いを馳せています。
《現世の試練》は私にまだまだ沢山課せられておりますが、
Messiaen作品から生きる為の智慧を、様々授かれる事を願っております。
赤坂樹里亜