Messiaen Preludeの中でも、最も「繊細」で「ガラス細工もしくは、
冬の湖面に張られた薄氷」を想わせるような響きを持つ作品は、
全8曲中この第2番でしょう。
形式は大まかな区分で3部形式。(「A+B+A´」)
(ここにもMessiaenは、色彩の指定を事細かに行っていますが、
このお話は後日に致します。)
「A」や再現の「A´」は、fis mollを基調とした「M.T.L第2旋法」が
用いられ、『悲しみの風景』といえども、あたかもステンドグラス越しの
淡い色を伴った透明の微光が、
教会の床に映り込んでいる、そんな光景を観ているかのような想いに
いざなわれます。
さて、中間部の「B」はFis durに転旋し、同主調に陽転したのです。
ここではMessiaenは次のように示唆しています。
『中間部分は「ダイヤモンド色」、「銀メッキ色」で。』
右手の旋律の合間に奏される3段譜の最高音部は、未だ鳥のさえずりを書きとる
すべを知らなかった20歳のMessiaenの「鳥への憧憬」が伺えると共に、
「ダイアモンドのような」角度により幾重にも光を放つ、「多重の輝き」をも
感じられます。
(ここでは、3段譜中間の旋律部と最低音部の伴奏部分とで、
少々「多重調性的」な創りにもなっているかと思われます。)
この「ダイアモンド色」の中に、『恍惚の歌』が奏でられているのでしょう。
また、この「B」部分にも「両外声の巧みなカノン」が形成されている個所があり、
脱帽です。
そしてこの動画では、ピアニストは弱冠13歳の少年なのだそうです。
若さから奏でられる瑞々しい感受性に、惹き込まれますね。
この作品も、小オーケストラに編曲している最中です。
赤坂樹里亜