オリヴィエ・メシアン76歳の晩年の作品に、この《聖体秘跡の書》(1984)が在ります。
全18曲の組曲的作品には、大まかに言いますと、「ミサの一連の行為」と、
聖書の逸話、また、ここでも「(神の)現存」などが集約されている作品集です。
これらはパイプ・オルガンで表現され、カトリック信仰と教会と音楽とを、
より一層強い絆で結びつけているかのような印象を受けます。
そこで、わたくしがより注目したいのが、No.14-16に当たる作品です。
No.14 Priere avant la communion -聖体拝領前の祈り-
No.15 La joie de la grace -恩恵の歓び-
No.16 Priere apres la communion -聖体拝領後の祈り-
「聖体拝領」とは、ミサ中に聖変化の儀式を経た、ホスチア
(ウエハースのようなもの)をキリストの体として、司祭様から会衆が頂く儀式です。
これをMessiaenは「No.14は頂く前の祈り」と、「No.15では恩恵を受けた喜び」、
そして「No.16にて拝領後の祈り」と三連作を形成しているようです。
ここでは、「No.16 聖体拝領後の祈り」の音源をご紹介したいと思います。
何とも崇高な音に包まれて、晴れやかな気持ちになる事が出来ます。
トリニテ教会で50年以上もミサなどのオルガにストを務めた76歳のMessiaenには、
毎週の「聖体拝領」の儀式の様子が、何十年にも渡り蓄積されていたのでしょう。
その当時の光景を、現代のわたくしたちが「拝領」させて頂けるのは、
この上のない歓びであります。
赤坂樹里亜
Le 7 fevr.-14 15h19