1932年、24歳の年にメシアンは最初の結婚をします。
先妻の名はクレール・デルヴォス。ヴァイオリニストです。
彼女の愛称は「ミ」。『ミの為の詩』とは、音階の「ミ」でなく、
愛妻に献呈した歌曲です。
始めにメシアンはSop.とPf.の為にこの9曲を書き、(1936)
その翌年(1937)には、この歌曲の伴奏を、
オーケストラ版として編曲を行っています。
このyoutube音源は、1937年の「オケ伴奏編曲版」の方ですが、
Pf.伴奏で聴くのとは、全く異なった奥行きや表情を見せてくれる様に思います。
更に個人的に注目すべき点は、この歌曲も「テクストをメシアン自身が」
書いており、この点でも今行っています『三つの小典礼』研究
(作曲者自身によるテクスト創作の観点)とも少し関連して視てゆけたら
良い収穫になるのかも知れません。
作品は二分冊されており、以下の様に並んでいます。
第一冊
No.1 『神への感謝 -空、そして水―』
No2. 『風景 -大きな碧い宝石のような湖‐』
No3. 『家 -この家、私たちはここを去るだろう―』
No4. 『恐怖 -嗚呼…―』
第二冊
No.5 『妻 -精神は君を連れて何処へ行くのか―』
No.6 『君の声 -午後で満ちた窓―』
No.7 『二人の戦士 -私たち二人は、ここで一つ―』
No.8 『首飾り -連なった春―』
No.9 『叶えられた祈り -孤独を揺り動かしたまえ―』
愛妻「ミ」とプティシェ(* 下記の地図上「A」地点。フランス・イゼール県内)に
別荘を建てて自然の中で暮らし、
そこで得たインスピレーションは、かくの如き作品となり、妻に献呈された様です。