【Olivier Messiaen: Un Sourire -微笑み-(1989)】
穏やかな楽想を持つこの作品も、とても好きな管弦楽作品のうちの一つです。
管弦楽作品と言いましても、編成からCb.のみ除かれており、
下から湧き上がってくる低音の響きよりは、中音域以高の色彩感溢れる
「Messiaen Harmonie」を十全に体感する事の出来る作品のように思います。
所々に特徴的なrythmeが散見され、更に時折挟まれる「打楽器群」の
巧みな扱い方には、やはりMessiaen的な作風を強く感じます。
こうしたオーケストレーションは、何かしら弟子のBoulezにも
受け継がれているように思え、興味深い所です。
1989年と言えば、Messiaenの亡くなる3年前です。
この頃には人生の終焉に向けて、こうした穏やかな心境で
何かを悟り切っていたのかも知れません。
赤坂樹里亜